2024年12月5~11日に現地調査でベトナム北部のラオカイ省を訪問しました。
ベトナムでは、9月に発生した大型台風(台風11号、YAGI)通過に伴う豪雨の影響で、土砂災害や水害などの深刻な被害が出ています。
今回の調査では、土砂災害による被害が特に深刻なベトナム北部ラオカイ省の山間部を訪れ、斜面崩壊が発生した場所の地形や地質の特徴を調査しました。
まだ、調査研究の端緒についたばかりですが、今後の頻発化が懸念される豪雨災害に備え少しでも被害を軽減できるように、リモートセンシング技術なども活用しながら、斜面崩壊の発生要因を明らかにしていきたいと思います。
最後になりましたが、今回の台風災害で犠牲になられた方々にお悔やみ申し上げるとともに、深刻な被害をこうむった方々の生活再建が一日も早く進むことを心から祈ります。
動画1:ベトナム北部の山間部(ラオカイ省バオイェン地区ランヌー村)で発生した大規模な斜面崩壊の様子。
斜面が広範囲にわたって崩れており、ところどころ基盤岩も露出していますが、崩壊の主体となっているのは表層付近にある赤色風化土層で、侵食深も比較的浅いのが特徴です。
動画2:国道沿いの斜面(ラオカイ省バオイェン地方、国道279号)で発生した崩壊に起因する土石流の様子。
台風による豪雨のあった9月10日頃から豪雨後数日が経過した9月15日に至るまで、何度かに分かれて斜面崩壊と土石流が発生したようです。
写真1, 2, 3, 4, 5, 6, 7:ランヌー村での現地調査の様子。
今回、現地調査を行ったバオイェン地方は、結晶片岩や片麻岩といった硬質の広域変成岩類(一部は花崗岩などの深成岩類)が分布する地域ですが、基岩のうえに厚い赤色風化土層が発達することが多いようです。
現地を歩くと、その赤色風化土層が崩壊して赤茶けた地面がむき出しになっている様子が至るところで見られます。
写真8, 9, 10:国道279号沿いで発生した斜面崩壊と土石流の様子。
写真11:国道279号沿いにて、路面の損傷箇所。
日本のようなアスファルト舗装道ではなく、コンクリート舗装道のため丈夫で、道路の寸断などの被害は軽微な印象でした。
写真12:国道279号沿いにて、斜面崩壊などの危険箇所であることを示す現地看板。
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