森林環境制御GEOECOSYSTEM CONTROL AND WATERSHED MANAGEMENT
森林環境制御

日本三大崩れのひとつ、大谷崩へ

2022年8月28~30日に現地調査で静岡県の安倍川上流域を訪問しました。
 
 
今回は、日本三大崩れのひとつとしても有名な安倍川最上流部の大谷崩(おおやくずれ)で、堆積学や地形学の研究者らと現地調査を行い、最近の研究で明らかになった知見などを共有しました。
大谷崩は西暦1707年の宝永地震により発生したとされていますが、確たる証拠はまだ得られていません。
また、1億m3を超えるとされる大量の土砂が大谷川をどのように流れ下り、安倍川流域の地形や土砂動態にどのような影響を及ぼしたかも詳しくはわかっていません。
 
現地調査では、まず、大谷川と安倍川本流との合流地点より下流にある赤水の滝に向かい、滝の下流にみられる厚い堆積物(礫層)の成因などを学びました。
その後は、大谷川や安倍川本流に合流するいくつかの支流を巡り、大谷崩の崩壊物質によって川が堰き止められ、天然ダムのような状態になっていた証拠(粘土-シルト-細砂からなる湖成層)がどこにどのように分布しているかを学びました。
 
 
大谷崩の発生は遠い昔の出来事にも思えますが、「宝永地震のような巨大海溝地震によって、どのような土砂災害が起こる可能性があるのか」といった観点や「大規模斜面崩壊は、どれくらいの期間にわたって流域の土砂動態に影響を及ぼし続けるのか」といった観点でみれば、砂防学にとっても重要な研究対象になり得るものです。
今後も他分野の研究者との共同研究を進めながら、将来の土砂災害予測につながる知見を見つけていければと思います。
 
 


動画1:安倍川支流、大谷川流域の様子。
大谷崩による崩壊跡地から現在も活発な土砂生産が続いており、対策のための砂防事業が行われています。

 


写真1, 2, 3:赤水の滝の下流にある厚さ50m超の礫層の大露頭。
安倍川本流の河谷がものすごい勢いで土砂に埋められていった証拠となるものです。
いったいどのような土砂移動現象が起こっていたのか(土石流や土砂流の段波が累重していったのか、大谷崩による大規模土石流が遷移したハイパーコンセントレイティッド流堆積物なのか)、想像をかきたてられます。

 


写真4:安倍川の徒渉。快晴の日の夏山調査は、川の水の冷たさが気持ちいい。
ウェーダーや沢足袋を履いてジャブジャブ進みます。

 


写真5:安倍川支流の河谷に残る堰き止め湖沼堆積物の露頭。
粘土やシルトなどの粒子の非常に細かい土砂が成層しており、この場所がかつて水底であったことを示しています。
他の地層との関係や有機物試料の年代などから、いつ、どのくらいの時間をかけて形成されたものなのかを探ろうとしています。

posted at 2022.8.30
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