数千年スケールで繰り返される地震地すべりの履歴を明らかにした主著論文がGeomorphology誌に掲載されました。
Kimura et al. (2023) Millennial-scale coseismic landslide history inferred from topographic and stratigraphic features of a post-caldera cone of Aso Volcano in southwestern Japan, Geomorphology, Volume 422, 108553
2016年4月に発生した熊本地震では、阿蘇山周辺で火山灰層の地すべりが多発しました。
その中には、大雨では崩れないようななだらかな斜面で発生したものもあり、土砂災害の被害を深刻なものにしました。
私たちの研究グループは、このなだらかな斜面で発生する火山灰層の地すべりに注目し、こうした現象が過去にも起こっていたのかを知るため、熊本地震による地すべり発生箇所周辺の地形や地層構造(火山灰層の層序)を詳しく調査しました。
その結果、周辺の斜面にも古い地すべりの痕跡が多く残されており、そのうち最大規模のものはおよそ7000年前に発生した可能性があること、地すべりの大きさや流動性の高さ、すべりの発生メカニズムが熊本地震で発生した地すべりと似たものであったことが明らかになりました。
今回の調査結果は、地震時にはなだらかな斜面でも繰り返し地すべりが発生する危険性があることを示すと同時に、過去の地すべりですでに火山灰層が侵食されてしまった斜面では地すべりの危険性が低くなることを示しており、将来の地震災害に向けて火山灰層の分布・堆積状況を詳しく調査することが有益であることを示唆するものとなっています。
本論文はオープンアクセス(無償で閲覧、ダウンロード化)となっております。
ご興味を持たれた方は、ぜひご一読ください。
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