森林環境制御GEOECOSYSTEM CONTROL AND WATERSHED MANAGEMENT
森林環境制御

主著論文がWater誌に掲載されました

過去の土地利用変遷が豪雨時の斜面崩壊に及ぼした影響を明らかにした主著論文がWater誌に掲載されました。
 
Kimura et al. (2023) Land cover trajectories and their impacts on rainfall-triggered landslide occurrence in a cultivated mountainous region of western Japan, Water, Volume 15, Issue 24, 4211
 
 
2018年7月の豪雨により西日本地方では多数の斜面崩壊、土石流が発生し、甚大な被害が生じました。
愛媛県内では、特に中・東予地方の島嶼部や南予地方の沿岸部に広がる果樹園(傾斜地農地)での被害が深刻でした。
これらの地域では、近年、放棄農地が増えるなど土地の状態が大きく変化しており、豪雨に対する斜面の抵抗力にも変化が生じていた可能性があります。
私たちの研究グループは、そうした地域のひとつとして、芸予諸島の大三島(今治市)における土地利用の変化と斜面崩壊地の発生箇所を空中写真や衛星画像を使って詳しく調査しました。
 
その結果、大三島では1960~1980年代に大規模な農地造成が行われ、それまで森林だった斜面に果樹園が広がったことや、1980年代以降は管理放棄による果樹園の二次林化が顕著であったことがわかりました。さらに豪雨時に発生した斜面崩壊の数や崩壊地の規模を比較すると、多くの崩壊が1960~1980年代に造成された果樹園の斜面で発生していました。崩壊の密度(一定の面積範囲に何箇所の斜面崩壊があるか)や崩壊斜面の面積割合は、二次林化した放棄果樹園でやや低かったものの、1960年以前より森林や農地が維持されていた場所よりも軒並み高い値をとっていたことが明らかになりました。
 
今回の調査結果は、大三島では、1960~1980年代に起こった森林から果樹園(傾斜地農地)への土地利用変化が豪雨時の崩壊多発の要因になっていたこと、その後の放棄による二次林化は斜面を安定させる方向に働いたが、依然として周辺の森林よりも不安定な状態であることを示唆するものとなっています。
こうした土地利用の変遷は地域ごとに異なることが予想されるため、土地利用と斜面崩壊との関係の解明にはさらなる調査が必要になります。
 
 
本論文はオープンアクセス(無償で閲覧、ダウンロード化)となっております。
ご興味を持たれた方は、ぜひご一読ください。

posted at 2023.12.9
  • 就職・進路情報
  • 受験生向け情報
PAGE TOP