森林環境制御GEOECOSYSTEM CONTROL AND WATERSHED MANAGEMENT
森林環境制御

四国地方の土砂災害に関する研究集会に参加しました

2022年10月28~29日に徳島県にある京都大学防災研究所徳島地すべり観測所を訪問しました。
 
 
1日目は、吉野川水系にある高知県大豊町と徳島県三好市の崩壊地や地すべり地を調査しました。
2日目は、徳島地すべり観測所にて研究集会を行い、最新の研究成果についての情報交換、意見交換を行いました。

高知県大豊町では、岩原地区と豊永地区の2箇所の崩壊地を訪れました。
岩原地区の崩壊地は「トウジ山の崩壊」と呼ばれる有名な崩壊地で、古くは1687年(貞享4年)に崩壊したとの記録があります。
また、1854年(安政元年)の安政南海地震、1857年(安政4年)の安芸伊予地震でも再び大きく崩壊したとの言い伝えや記録が残されています。
現地では、崩壊した斜面の地質的特徴などを解説していただきました。
 
徳島県三好市では、有瀬地区の地すべり地を訪れました。
有瀬地区の地すべりは、2018年6月末から7月初めにかけての豪雨(平成30年7月豪雨)によって大きく滑動したため、現在集中的な対策工事が行われている地すべり地です。
現地では、地すべりの原因となる斜面の地質的特徴を解説していただいたほか、排水トンネル工・ディープウェル工・スーパーウェルポイント工法(真空排水ポンプを用いて地下水を地すべり地外へ強制的に排水する工法)などの地すべり対策工法を学びました。
 
 
2日目の研究集会では、計11件の発表があり、活発な議論が行われました。
私たちの研究室からは木村が「放棄地を含む造成農地の分布把握と崩壊危険性評価」と題した発表を行い、平成30年7月豪雨により芸予諸島で発生した土砂災害と土地利用の関係についての調査結果を報告しました。
 
 
今回の研究集会を企画してくださった京都大学防災研究所の山崎新太郎准教授、琉球大学の中村真也教授、ならびに研究集会開催に携わられた関係者の皆さま、どうも有難うございました。
 


写真1:大歩危渓谷を流れる吉野川の様子。
深いエメラルドグリーンの河川水と灰白色を呈した結晶片岩の露頭が美しい景観を創り出しています。

 


写真2:岩原地区「トウジ山の崩壊」の遠望。
正面(赤い橋梁の奥)にある山塊で右から左に下るやや緩やかな斜面が、トウジ山の崩壊で発生した土砂が堆積してできた斜面。
その上方にある急な崖地形が崩壊した斜面。

 


写真3:斜面の麓から撮影した「トウジ山の崩壊」。
現在もまだ植生に覆われていない裸地斜面が残されています。

 


写真4:豊永地区の崩壊地の様子。現在は法面対策工の設置が進んでいます。

 


写真5, 6:有瀬地区の地すべり地とその周辺(吉野川が流下する渓谷の谷壁斜面)の遠望。

 


写真7, 8:有瀬地区の地すべり地内の様子。
道路脇の擁壁に亀裂ができて大きくずれが生じています。下段の写真では、道路にも大きな変状が出ていて急坂になっています。

 


写真9:2日目の研究集会後に参加者全員で記念撮影(山崎新太郎氏提供)。
四国4大学(香川大学・徳島大学・高知大学・愛媛大学)をはじめ、京都大学、琉球大学、日本大学、沖縄国際大学、帝京科学大学の土砂災害研究者および学生、防災事業に関わる民間企業の技術者らが参加しました。

posted at 2022.10.29
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