森林環境制御GEOECOSYSTEM CONTROL AND WATERSHED MANAGEMENT
森林環境制御

阿蘇火山へ

2022年5月29日~6月1日に現地調査で熊本県の阿蘇火山周辺を訪問しました。
 
 
今回の調査では、阿蘇火山山麓の斜面に、降雨時の表層崩壊の原因となる土壌中の水分や間隙水圧、表土層のひずみを計測するための観測機器を設置しました。
すべり面が深く、ゆっくりと動く地すべりの観測事例は多いのに対し、表土層中の水分・水圧とひずみの変動を崩壊発生まで観測した事例は多くありません。
表層崩壊の発生予測につながるようなシグナルを捉えられるかどうか、これから得られる観測データに期待したいと思います。
 
 
最終日には、2016年4月の熊本地震による災害の爪痕、現在も活発な噴火活動が続く中岳火口周辺などを見て回り、火山地域特有の景観(地形地質)や土砂災害の特徴を学びました。
 
例年であれば梅雨の最中の期間でしたが、天候にも恵まれて気持ちの良いフィールドワークができました(めちゃくちゃ日焼けしました...)。

 

 


写真1, 2:草地の緑が眩しい阿蘇火山、高岳山麓の様子。愛媛大学メンバーで調査の記念撮影。

 


写真3, 4:調査地は背丈ほどの高さのススキ(Miscanthus属)に覆われた急斜面。
2012年7月の豪雨による表層崩壊の爪痕もまだ多く残されています。
土層構造の観察と観測孔設置のために、ハンドオーガーと呼ばれる器具をつかって表土を掘削します。

 

写真5:観測孔の中に傾斜計(加速度センサー)と間隙水圧計を埋め込みます。
地上部にはデータロガー(観測データの記録装置)と太陽光発電装置を設置します。

 

写真6:阿蘇火山西方の草千里ヶ浜より中岳火口を望む。
中岳火口付近には、2021年10月の噴火で発生した火砕流の爪痕(斜面を覆う灰白色の火砕堆積物)が残されています。

 


写真7:帰路で乗った別府-八幡浜間を結ぶフェリーより、大分で買ったとり天弁当を食べながらの野外観察。
フェリーは、別府湾を出て豊予海峡を通過する際に、佐田岬半島の突端に接近します。
中央構造線が延びる方向を指し示すかのように、西へ長く突き出た半島の地形が、独特の景観を創り出しています。

posted at 2022.6.2
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